古来から琉球の人々は、水を司る龍神の存在を崇拝してきました。
人々は自然を守る彼らの息吹とともに生き、龍神もまた、彼らの聖地ともいわれている琉球で、
海や川だけでなく全土にまたがって人々の生活を守ってきました。
今や、沖縄各地で盛んな祭りやスポーツ大会、イベント、ロゴマークなどでも
龍の姿が描かれるようになり、沖縄の人々にとって龍神の存在は非日常ではなくなってきています。
ここ、うるま市でも、毎年「龍神の宴」が開催されています。
今年も12月12日(土)と13日(日)に、沖縄県内外、海外で活躍するアーティスト、
芸能団が集結し、華麗な琉球芸能エンターテイメントステージを繰り広げます。
本年のテーマは「琉球の魂、ここに、集う」
斬新かつ煌びやかな演出とともに、獅子や太鼓、旗、舞踊、三味線が琉球の紡いできた壮大な歴史を奏で、
インストゥルメンタルミュージックやポップス、お笑い等が、会場をさらに盛り上げます。
さぁ、本番を目前に控えた彼らの稽古風景をちょっと覗いてみましょう。
さっそく、練習場所のうるま市石川屋内運動場の入口を通り抜けると、
肌寒い外気とは反対にぽかぽかで、立っているだけでも汗ばむぐらいの温かさ。
子どもから大人まで年齢層幅広い出演者達が集まって、エイサーと琉球舞踊を中心に練習が始まっていました。
統括プロデューサーの具志堅司さんが音楽をスタートさせると、
さっきまで無邪気な笑顔をしていた子どもたちが一瞬で真剣な顔に変わり、スタート地点から定位置まで駆けて行きます。
どの子も、自分の立ち位置を確認しながら、完璧な振り付けで演舞の練習に励みます。
芸能を背負う一人としての志が、自然と身についている様子が伺えます。
もちろん、大人の皆さんも真剣そのもの。
色鮮やかな扇子と布を使った舞を魅せる女性ベリーダンサーのみなさん。
その優美な舞に、つい見とれてしまいます。
「龍神の宴」には、各地で活躍しているエイサーや琉球舞踊など、さまざまな団体が集結します。
多彩な演舞が一挙に見られるのも、このイベントの見どころです。
「龍神の宴」の企画・総合プロデューサーで、今回出演する琉球芸能集団「龍神伝説」主宰の具志堅さん。
芸能生活24年目のベテランで、県内県外のみならず、アメリカやイタリア、中国、ペルーなど、世界各国で精力的に活躍中です。
出身がうるま市の安慶名(あげな)闘牛場近くの具志堅さんは、小さいころから闘牛場は身近な存在で、
日頃から足しげく通う「遊び場」だったそう。
琉球芸能に身を置くようになって、
「いつの日か、闘牛場を自分の舞台にしたい」という夢を、「龍神伝説」で実現しました。
練習の合間に、「龍神の宴」開催への想いを伺いました。
「通常のステージで公演をするのは、実はそう難しくはないんです。
でも360度見られるとなると、演者は心地よい緊張に包まれ、観客も楽しんでくれる。
最近では、わざわざ外国から見に来るお客さんがいます。
沖縄観光は、どうしても冬の観光客数が落ちるので、
このイベントをきっかけに、県外国外のお客さんがうるま市を知って、沖縄に遊びにきてくれたら嬉しい」
「このイベントの出演者たちは、本気で芸能に向き合っている人達ばかりで、出演者だけでも300人近くいます。
年末に今年1年の芸能の集結として、このステージに立つ演者達ばかりなので、気合が違います」
「イベントを3回も重ねると、出演している子どもの保護者から『子どもに度胸がついた』と言われるのですが、
将来は、その子ども達が沖縄に誇りをもって、琉球芸能を外に発信し、次世代に繋げていってくれたら本望です」
イベントだけでなく将来の沖縄のことまでも想い、
日々国内外での公演を広げている具志堅さんからは、琉球人としての気迫を感じます。
龍神の宴2015 ~うるま 彩りの祭典~
開催日時/2015年12月12日(土)・13(日) 開場16:30 開演18:30
会場/うるま市石川多目的ドーム(全天候型闘牛場)
※公演内容は両日とも同じ
※両日ともに開演前(17:00~18:00)にプレイベントあり
※臨時駐車場あり:うるま市石川庁舎、港湾臨時駐車場 各駐車場からシャトルバス運行あり