その土地に根付く文化を体験することは、旅を楽しむ醍醐味といえます。沖縄では、守り神として家の前に置くシーサーの「絵付け体験」をはじめ、「やちむん(陶芸)体験」「紅型(びんがた)染め体験」などバラエティに富んだ体験メニューがあります。

その中でも女子旅や家族旅行などで、初めて沖縄に訪れる皆さんにオススメなのが、カラフルな色合いと、可愛らしい形をした琉球ガラスを自分で作れる「吹きガラス体験」です!

「琉球ガラス」とは沖縄県本島を中心に作られている工芸品のこと。

明治中期から沖縄でガラス作りが始まったとされていますが、戦争によって各地のガラス工房が壊滅状態に。

終戦後は資源不足から、米軍基地で集めたコーラやビールの空き瓶を溶かして再利用し、再びガラス作りが始まりました。米軍から琉球ガラスの発注が増えたことで、戦後復興の一つとして琉球ガラスは発展していきます。

1998年には、沖縄県の「伝統工芸」に認定され、今では多くの職人や工房が誕生しています。

今回ご紹介するのは、うるま市石川伊波の丘に佇むガラス工房『匠工房』。

伝統工芸士・松田英吉氏によって2000年に読谷村座喜味(よみたんそんざきみ)で創業しました。2007年にうるま市石川伊波へと移転。恩納村のリゾートホテルエリアから車で10〜20分ほどの好立地ということもあり、家族連れや修学旅行生など多くの観光客が訪れる人気のガラス工房です。そして、琉球ガラス体験ができる施設としても名を馳せています。

店内には赤、橙、黄色、緑、青と沖縄のビビッドで彩り豊かなガラス作品がずらりと並んでいます。こちらではお好きなガラス作品を購入することが可能です。

グラスやランプシェードなどバラエティに富んだ作品からは、熟練の匠の技が感じられ、技巧の素晴らしさと艶やかな彩りに思わず見とれてしまうほど。実際に見ながら、これから体験するガラスづくりのイメージを膨らませます。

そして、いよいよ吹きガラス体験へ。まずは、自分が作ってみたいと思うガラスを見本の中から選びます。

色、形、サイズ、工程などによって体験金額が変わるので、予算や自分の好みのに合ったグラスがどれなのか、じっくりと検討します。一見、「難しそう?」と思っても大丈夫。熟練の職人さんたちが丁寧にサポートしてくれます。

先ほど選んだガラスを作るために、職人さんがまずは下ごしらえ。ガラスを熱し、最初のカタチを整えてくれます。

準備ができたら、穴の通った鉄パイプに息を吹き込み膨らませていきます。ガラス作りの基本は常にパイプを回し続けること。手を止めると形が崩れてしまうので、緊張した面持ちでパイプを回し続けるお二人の姿は真剣そのものです。

職人と呼吸を合わせて、膨らましたガラスをゆっくり切り離して次の工程へと進んでいきます。

空気を通すパイプから切り離したら、別の作業スペースへ移動してグラスの口を広げていきます。こちらもパイプを常に回転させながら、慎重に形を整えて行きます。力を入れすぎると歪んでしまったり、逆に弱いと整形前にガラスが硬くなってしうので、待ったなし! のなかで自分の力加減を探って行きます。

初めての方にはなかなか難しい作業にみえますが、そこは職人さんの腕の見せ所。ウィットに富んだジョークなどを交えつつサポートしてくれるので、イイ感じに形が仕上がっていきます。

難易度の高そうなジョッキの取っ手も、職人さんの優しくスピーディーな誘導で取り付けることができました。自分の納得のいく形になったらそこで終了。納得加減がわからなくても大丈夫、ちゃんと職人さんがいい塩梅を教えてくれます。

ガラス作りが終わったら、一晩かけて徐冷窯でガラスの熱をゆっくり冷ましていきます。

出来上がった作品は、翌日工房で受け取るか自宅へ配送するかを選べます。ご自身の旅のプランに合わせてチョイスしてみてください。

1300度の炉でガラスを溶かし、熟練の技を使って加工することを繰り返して作る琉球ガラス。匠工房では、流れに沿ってその一部を体験することができると同時に、ガラス作品の工程を間近で学ぶことができます。

何より匠工房の魅力は体験できるメニューがたくさんあること。型にはめられた同じものを作るのではなく、職人と一緒にオリジナリティあふれるものが作れます。旅先のものづくり体験は、訪れた土地で受け継がれている文化と人に触れ合えることも魅力ですね。

南の島で、職人と一緒に自分が作ったグラスは不思議と愛着が湧いてくるものです。日々の暮らしの中で使うことで、うるまの旅の記憶を身近に感じることが出来るはず。

沖縄を大満喫したいなら、琉球ガラス吹きガラス体験

匠工房

所在地/沖縄県うるま市石川伊波1553−279

電話/098-965-7550

営業時間/9:00~18:00

定休日/年中無休

HP/ https://www.takumi-kobo.com

掲載日 2018年12月28日