うるま市は、かねてより全国的にかかえている農水産業従事者の減少や高齢化の課題について「一次産業の担い手の確保」と「生産高の向上」の必要性を感じていました。
そこで、行政と地域住民・生産者との意見交換を重ねながら、「食」を通じて地域が元気になるような拠点施設についての検討がはじまります。その中で生まれた「やりがいと収入が連動する」「次世代が積極的にコミットできる」「農水産物の6次化促進」「うるま市産業の活性化」「農水産物を生かした観光施設」「地産地消の推進」といったコンセプトが見いだされました。
食に関する作り手の「届けたい」と地域住民の「買いたい」という気持ちがうまく絡み合い、お互いが地域を誇りに思えるようなスペースをつくることで、一次産業の肝となる「作り手」が増えることを目的とします。数年かけて意見交換やワークショップ、視察を繰り返し、およそ6年の歳月を経てオープンを迎えることに。
株式会社ファーマーズ・フォレスト代表の松本氏は、市民ワークショップの基調講演で訪れたことがきっかけで沖縄・うるま市という地域、そこで暮らす人々、営まれる農水産業に魅せられていきます。そして、今まで培ったノウハウをこの土地で生かしてみようと決意し、本格的にうるま市に拠点を設け、うるマルシェのオープンに向け動き出しました。
「行政が抱える課題解決と市民の描く未来を実現するためには、とにかく生産者や地域住民と腹を割って話し合ってきました。『よそもの』の自分にとって、うるま市を活性化させるためには、『あ、うん』の呼吸でコニュニケーションが図れる中村さんの存在が不可欠でした。僕らが話す言葉を、中村さんや他スタッフたちが地域の人たちへわかりやすく、そして心棒強く届けてくれたことが、大きな一歩へと繋がりました。」と語る松本氏。
「住民に愛される施設であることが一番。そこの評価がとても大切だけど、同時に産業を取り巻くエンジンであり続けなければならないと感じます。ようやくオープンを迎えましたが、「ゴール」ではなくここからが本番です。地域活性化のための仕組みづくりを本格的に始動させ、事業者との連携を深めて、うるま市が産業や観光として『沖縄のゲートウェイ』となることができれば、と考えています。」と続けます。
地域でまちづくりのために事業を行う中村氏は「うるマルシェの最大の魅力は『住民が主体』であることです。生産者は『出荷したい』、消費者は『買いたい』。シンプルにそう思える場所であること。この場所に足を運ぶ誰もが、少しでも何かしらの関わりを持つことで『当事者意識』が生まれます。使い方が限定されないユニークな空間になる可能性を秘めていることも魅力の一つ。だからこそ、これからの仕組みづくりと人材の育成が重要になってきます。」と語ります。
産声を上げたばかりの「うるマルシェ」。新鮮な食材が買える場所だけではなく「うるま市民の市民による場所作り」が始まる予感があります。その先には「沖縄の食の中心地」としての可能性も秘められ、どんな風に育っていくのか今からワクワクが止まりません。
次回は、うるマルシェの魅力を存分にご紹介いたしますので乞うご期待!